きゅうりにつく虫は「ウリハムシ」「ハダニ」「アブラムシ」「コナジラミ」「タバコガ」「アザミウマ」などが代表的で、葉に穴や白い斑点が出るなどの症状を引き起こします。
この記事では、きゅうりにつきやすい主要な害虫の種類と被害の特徴を整理しながら、駆除方法と予防策までをまるごと解説します。
家庭菜園でもよく出る虫ばかりなので、早めに対策を知っておけば安心ですよ。
ぜひ最後まで読んで、健康できれいなきゅうりを育ててくださいね。
きゅうりにつく虫の種類と特徴6つ
きゅうりにつく虫の種類と特徴6つについて解説します。
それでは、順番に見ていきましょう。
①ウリハムシ
ウリハムシは、きゅうりをはじめとするウリ科の植物に寄生する代表的な害虫です。体長は約8mmでオレンジ色の小さな甲虫です。
幼虫の頃は土の中に潜み、植物の根を食べるため、成長を妨げます。そして成虫になると、葉っぱに穴を開けたり輪状の跡を残したりしながら食害を与えます。
特に気温が高くなる5月から8月にかけて活動が活発になり、被害が広がりやすいのが特徴です。
葉にたくさんの小さな穴が開いている場合は、このウリハムシが原因である可能性が高いです。
ウリハムシは一度見つけると大量に繁殖しやすいので、早めに駆除することが重要です。駆除方法としては、手で捕獲したり、防虫ネットで侵入を防ぐのが有効です。
②ハダニ
ハダニはきゅうりを含むさまざまな植物に被害を与える非常に一般的な害虫です。体はとても小さく、葉の裏に集団で寄生するため、気づいたときには広がっていることも少なくありません。
ハダニは植物の葉から栄養を吸い取り、その結果として葉の色が抜けて白っぽくなってしまいます。
これが進行すると葉緑素が失われ、植物は光合成ができなくなってしまうという深刻な問題に発展します。
高温で乾燥した環境を好むため、梅雨明け以降の真夏は特に発生しやすいです。早めに発見して取り除かないと、株全体に広がってしまうことがあります。
③アブラムシ
アブラムシは体長1〜2mmほどの非常に小さな虫で、群れで発生するのが特徴です。見つけにくいため、被害が進んでから気づくことが多いのもやっかいな点です。
アブラムシはストローのような口で葉を刺し、養分を吸い取ります。すると葉が縮んだり、黄色く変色してしまったりすることがあります。
また、アブラムシは病気を媒介することもあるため、単なる食害以上に被害が大きくなる危険性があります。
増殖スピードも非常に早いため、見つけたらすぐに駆除することが重要です。テープで捕まえる、牛乳スプレーをかける、専用の殺虫剤を使うといった方法が効果的です。
④コナジラミ
コナジラミは、きゅうりに白い粉のようなものがついていたら疑うべき害虫です。高温乾燥した環境を好み、特に雨が当たらないベランダ栽培やビニールハウス内で発生しやすい傾向にあります。
体は小さくて白っぽく、植物の裏に隠れて繁殖します。吸汁による栄養不足に加え、排泄物によって「すす病」が発生することもあります。
コナジラミは雑草の多い場所でも発生しやすいため、周辺環境をきれいに保つことが予防につながります。
⑤タバコガ
タバコガは葉、茎、果実ときゅうり全体に被害を与える害虫です。成虫は体長1.5cmほどで、見た目は蛾に似ています。
産み付けられた卵から孵化する幼虫は青虫で、葉を食べるだけでなく茎や果実の内部に潜り込むのが特徴です。
そのため、外側から見ると少しの傷しかないようでも、中身がスカスカになってしまうことがあります。発見が遅れると被害が一気に広がるため、注意が必要です。
⑥アザミウマ
アザミウマは体長1〜2mmほどの非常に小さい昆虫で、針のような器官を使って植物に穴を開け、唾液を流し込んで組織を壊しながら吸汁します。
被害を受けると葉に白っぽい斑点が出て、放置すると葉が壊死する危険もあります。特に「ミナミキイロアザミウマ」は、きゅうりでよく見られる種類です。
風通しが悪い環境で発生しやすいので、株を間引いたり、雑草を取り除いたりすることで予防するのが効果的です。
きゅうりに出やすい被害症状5つ
きゅうりに出やすい被害症状5つについて解説します。
それぞれの症状を詳しく見ていきましょう。
①葉に穴が開く
きゅうりの葉に無数の穴が空いている場合、ウリハムシによる食害の可能性が高いです。ウリハムシは成虫になると葉の表面をかじり、小さな丸い穴をたくさん開けます。
葉がボロボロになってしまうと光合成の効率が落ち、きゅうり全体の生育に悪影響を与えます。特に5月〜8月の暑い時期に被害が多発するため、この季節は注意が必要です。
また、葉に穴が開いたまま放置すると病原菌が侵入するきっかけにもなるため、早めの対応が求められます。
②葉に白い筋ができる
きゅうりの葉に白い線が浮かび上がるように見える場合、トマトハモグリバエの幼虫による食害が疑われます。幼虫は葉の内部に潜り込み、トンネルを掘るように食害を進めるため、白い筋が残るのです。
この被害が進行すると、葉の見た目が悪くなるだけでなく、葉の機能も大きく低下します。光合成が妨げられ、株の生長が弱くなってしまいます。
症状が出始めた段階で葉を摘み取ることが、被害拡大を防ぐための有効な対策になります。
③葉脈に沿った白い斑点
葉脈に沿って白っぽい斑点が広がる場合は、アザミウマによる吸汁被害の可能性が高いです。特に「ミナミキイロアザミウマ」がよく発生し、葉を吸汁しながら斑点状の被害を残します。
放置すると葉が部分的に壊死し、最終的には枯れてしまう危険性もあります。斑点が増えて葉全体が弱ると、実のつき方にも影響します。
見つけ次第、被害のある葉を切り取るか、駆除方法を検討することが重要です。
④葉が黄変してしおれる
葉が黄色くなってしおれる場合、アブラムシやハダニによる吸汁被害が考えられます。これらの害虫は葉の栄養を奪うため、葉が変色して元気を失ってしまうのです。
最初は部分的な黄変でも、被害が広がると株全体に影響を及ぼします。また、アブラムシはウイルス病を媒介することもあるため、単なる黄変では済まないケースもあります。
葉の変化を早く見つけて対応することが、健康な栽培を続けるために欠かせません。
⑤果実が変形・傷つく
タバコガの幼虫がきゅうりの実に潜り込むと、表面に小さな傷がついたり、内部が食べられてスカスカになったりします。その結果、きゅうりの形がいびつに曲がったり、傷跡が残ったりすることがあります。
果実の見た目が悪くなるだけでなく、食用としての価値も下がってしまいます。さらに内部から腐敗する場合もあり、収穫が不可能になるケースもあります。
果実への被害を防ぐためには、早期に幼虫を発見して駆除することが大切です。
きゅうりの害虫を駆除する4つの方法
きゅうりの害虫を駆除する4つの方法について解説します。
それでは、一つずつ見ていきましょう。
①手やテープで捕獲
きゅうりにつく害虫がまだ少ない段階であれば、もっともシンプルで効果的なのが「手やテープで捕まえる」方法です。
ウリハムシやアブラムシのように目に見える大きさの害虫は、葉の表や裏をチェックしながら手でつまんで取り除けます。
小さい虫や動きの速い虫に対しては、ガムテープなどの粘着テープを軽く押し当てて剥がすと、効率よく捕まえられます。
手間はかかりますが、薬剤を使わないので安心安全で、家庭菜園ではよく用いられる方法です。
ただし、害虫が増えすぎてしまった場合には、この方法だけでは追いつかなくなることもあります。初期対応として非常に有効なので、見つけたらすぐ実行するとよいでしょう。
②歯ブラシでこすり取る
葉の裏にびっしりと付くことが多いハダニやアブラムシには、歯ブラシを使った物理的な駆除も有効です。特に細かい毛先の歯ブラシを使うと、葉を傷つけにくく、効率的にこすり落とすことができます。
この方法は、株全体にまだ広がっていない段階で効果を発揮します。数枚の葉に集中しているときには非常に使いやすい方法です。
また、歯ブラシで取り除いたあとは水で葉を洗い流しておくと、残っている虫も減らせます。あくまで応急的な対応として行い、根本的な解決には別の方法と組み合わせるのがおすすめです。
③木酢液を散布する
木酢液は、炭を作る過程で発生する液体で、独特な煙のような匂いを持っています。この匂いを嫌って害虫が寄りつかなくなるため、きゅうりの株全体に散布すると予防と駆除の両方に役立ちます。
木酢液には直接的な殺虫成分はありませんが、自然由来の成分であるため安心して使えるのが特徴です。家庭菜園で「なるべく薬剤は使いたくない」という方には特におすすめです。
ただし、濃度が濃すぎると植物自体を傷めてしまうことがあるので、説明書どおりに薄めて使うことが大切です。
④殺虫剤を使う
害虫が大量に発生してしまった場合には、殺虫剤を使うのがもっとも確実で効果的です。市販の殺虫剤はさまざまな種類があり、アブラムシやハダニなど特定の害虫に特化したものもあります。
使用するときは、きゅうり全体にまんべんなく散布することが大切です。特に葉裏には害虫が集まりやすいので、裏側にもしっかりかけるようにしましょう。
ただし、殺虫剤には使用回数や収穫前の制限日数などが設定されています。ラベルをよく読み、安全に注意しながら正しく使う必要があります。
被害が大きいときの切り札として考え、日常的には他の駆除方法と組み合わせると安心です。
きゅうりの害虫を予防する3つの対策
きゅうりの害虫を予防する3つの対策について解説します。
それでは、順番に紹介していきます。
①防虫ネットを使う
防虫ネットは、もっともシンプルで効果の高い予防法です。きゅうりの株全体を網目の細かいネットで覆うことで、物理的に害虫の侵入を防ぐことができます。
特にウリハムシやアブラムシのように空から飛んでくる害虫に対して有効です。ネットの目の細かさは0.8mm以下が理想で、これにより小さな虫の侵入も防止できます。
ただし、ネットを張る際は隙間を作らないことが大切です。株元までしっかり覆うことで、下からの侵入を防げます。
見た目や手入れのしやすさにデメリットはありますが、効果は抜群で、初めて栽培する人にもおすすめの方法です。
②牡蠣殻を土にまく
牡蠣殻を砕いたものを土にまくと、害虫を寄せ付けにくくなるといわれています。牡蠣殻にはカルシウムが豊富に含まれており、土壌改良や肥料の役割も果たします。
土のpHを調整する効果もあるため、きゅうりの生育環境を整えるうえでも有効です。見た目も自然で、ネットのような圧迫感もないため、庭やベランダで栽培する場合にも使いやすい方法です。
一度まいておけば長期間効果が続くのも魅力のひとつです。ネットはちょっと面倒…という方に向いている予防法です。
③手作り虫よけスプレー
市販の農薬をできるだけ避けたい方におすすめなのが、家庭で作れる虫よけスプレーです。材料はシンプルで、純米酢・トウガラシ・ニンニクを使います。
これらを瓶に入れて30〜60日間漬け込むと、虫が嫌がる成分が抽出され、スプレーとして利用できます。薬剤を使わないため安心で、小さな子どもやペットがいる家庭でも扱いやすいのがメリットです。
スプレーは葉の表や裏にまんべんなく吹きかけると効果が出やすいです。天然成分なので即効性は強くありませんが、こまめに使うことで害虫を寄せ付けにくい環境を作ることができます。
手間をかけてでも自然な方法で栽培したい方にぴったりの予防策です。
きゅうり栽培で害虫を防ぐ育て方の工夫4つ
きゅうり栽培で害虫を防ぐ育て方の工夫4つについて解説します。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
①風通しをよくする
きゅうりは湿気がこもると害虫や病気が発生しやすくなります。株の間隔を広めにとったり、不要な葉や枝を剪定したりして風通しをよくすることが大切です。
特にハダニやアザミウマは高温乾燥の環境で発生しやすいですが、通気性を確保することで発生リスクを下げられます。夏場は葉が茂りやすいので、定期的に株をチェックしましょう。
②雑草を取り除く
株のまわりに雑草が多いと、そこに害虫が繁殖して本体に移ってきます。特にコナジラミやアブラムシは雑草を中継地点にして広がることが多いため、雑草管理は欠かせません。
こまめに草取りをしておくことで、害虫の住処を減らすことができます。また、マルチを敷くと雑草を抑える効果があるだけでなく、土壌の乾燥防止にも役立ちます。
③水やりと肥料を適切に
水やりや肥料が偏ると、株が弱って害虫に狙われやすくなります。水は土の表面が乾いたら株元にたっぷり与えるのが基本で、葉にかけすぎると病気の原因になるので注意が必要です。
肥料も与えすぎると葉ばかり茂って害虫の発生を招きやすくなります。逆に不足すると株が弱り、被害を受けやすくなります。適量を守ってバランスよく与えることが、健康な株を維持するポイントです。
④連作を避ける
同じ場所で続けてきゅうりを育てると、土壌に病害虫が蓄積しやすくなります。これを「連作障害」といい、害虫の発生リスクを高める原因のひとつです。
きゅうりを植えた場所では、最低でも2〜3年はウリ科植物(スイカやカボチャなど)を避けることが推奨されます。その間はナス科やマメ科など、別の科の植物を育てて土を休ませましょう。
連作を避けることで、害虫の発生を防ぎ、土壌の健康を保つことができます。
まとめ|きゅうりにつく虫と対策の全体像
きゅうりにつく虫には、葉に穴を開けるウリハムシや、葉を白く変色させるハダニ、栄養を吸って株を弱らせるアブラムシなど、さまざまな種類があります。
これらの害虫は葉や果実に被害を与えるだけでなく、生育全体を妨げる原因になります。症状を早く見つけ、手や歯ブラシで取り除いたり、木酢液や殺虫剤を適切に使うことが重要です。
また、予防策として防虫ネットや牡蠣殻、手作りスプレーを活用することで、被害を未然に防ぐことができます。
加えて、風通しを良くしたり雑草を取り除いたりといった育て方の工夫も、虫の発生を抑える有効な手段です。
健康で美味しいきゅうりを育てるためには、害虫対策を日頃から意識し、早めの行動を心がけてくださいね。