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柿の実が落ちるのはなぜ?生理落果・害虫・病気の違いと防ぎ方

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柿の実が落ちる主な原因は「生理落果」「受粉不良」「害虫」「病気」の4つです。
この中には自然な現象もありますが、管理や対策によって防げるものもあります。

家庭でも育てやすい柿ですが、せっかく実がついたのに落ちてしまうとがっかりしますよね。
でも安心してください。

落ちる原因を知っておけば、どう対応すればいいかが分かり、収穫できる実を増やすことができます。

この記事では、柿の実が落ちる理由と特徴を比較表で整理しながら、栽培の基本や病害虫対策までわかりやすくまとめました。

最後まで読めば、あなたの柿を元気に実らせるコツがつかめますよ。

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柿の実が落ちる原因4つと見分け方

柿の実が落ちる原因4つと見分け方について解説します。

それでは一つずつ見ていきましょう。

①生理落果

柿の木は、6月から7月頃になると「生理落果」と呼ばれる自然な現象を起こします。これは、樹が自ら余分な実を落とし、残りの実に養分を集中させるためのものです。

具体的には、受粉が不十分な実や、小さすぎて成長が見込めない実をヘタごと落とします。ですので、庭先でヘタごと実がコロンと落ちていたら、生理落果の可能性が高いです。

生理落果は「病気ではない」ため、過度に心配する必要はありません。ただし、日当たりや風通しが悪い環境では、通常よりも多くの実が落ちることがあります。

その場合は、混み合った枝を剪定し、樹全体に光と風が行き渡るようにしましょう。

家庭栽培では自然の調整として受け入れつつ、剪定などでサポートしてあげるのがポイントです。

②受粉不良

柿の品種によっては、雌花しか咲かないものがあります。そのため、受粉が十分に行われないと、実が成長せずに落ちてしまいます。代表的な例は「富有」「早秋」「平核無」などです。

受粉不良による落果は、6月頃から目立ち始め、実が小さいうちに落ちるケースが多いです。見分け方としては、実が成長しないまま小さく落ちる点です。

対策としては、受粉木を近くに植えるのが効果的です。「禅寺丸」「筆柿」「西村早生」など、雄花を咲かせる品種をそばに置くと、自然に受粉が進みます。また、家庭で人工授粉を行う方法もあります。

これらを行うと受粉不良による落果を大幅に減らすことができ、実を安定して収穫できます。

③害虫(カキノヘタムシガ)

柿の実が落ちる原因として特に厄介なのが「カキノヘタムシガ」という害虫です。幼虫が果実のヘタと実の間に入り込み、食害してしまうため、実が枝から外れて落ちます。

生理落果と似ていますが、大きな違いがあります。カキノヘタムシガの被害では「ヘタが枝に残り、実の部分だけが落ちる」という特徴があるのです。

この点を確認すれば、自然な落果か害虫による被害かを見分けることができます。

防除のタイミングは6月と8月で、この時期に薬剤散布を行うと効果的です。逆に、被害が出てから薬をまいても、あまり効果がないのが特徴です。

さらに、冬の休眠期に「荒皮削り」をして越冬幼虫を駆除すると、翌年の被害を減らせます。

害虫の被害は一度出ると収穫量に大きな影響を与えるため、早めの対応が重要です。

④病気(炭そ病)

柿の実が黒い斑点を伴って落ちる場合、炭そ病が疑われます。この病気は葉や枝にも黒い斑点が現れるのが特徴で、進行すると果実の品質が著しく低下し、やがて落果につながります。

発生しやすいのは雨の多い時期や、風通しが悪い環境です。湿気を好む病原菌が原因のため、長雨や梅雨時期に特に注意が必要です。

対策としては、専用の薬剤を3月と4月の発芽期に散布することが有効です。また、休眠期にも薬剤散布を行うことで、菌が越冬するのを防ぐことができます。

さらに、落ち葉や病気にかかった実を放置せず、しっかり処分することも重要です。庭を清潔に保つことで病気の再発を防ぐことができます。

炭そ病は放置すると翌年以降も繰り返し発生するため、予防的なケアを徹底しましょう。

柿の実が落ちる時期と特徴

柿の実が落ちる時期と特徴について解説します。

それぞれの落果のタイミングや特徴を知っておくと、原因を判断しやすくなりますよ。

①6月〜7月の自然落果

6月から7月にかけて、柿の実が次々に落ちる現象を「生理落果」と呼びます。これは柿の木にとって自然な調整で、すべての実を育てる力がないため、余分な実を落として養分を集中させる仕組みです。

特に受粉が不十分だった実や、サイズが小さく成長が見込めない実は優先的に落ちます。庭に落ちた実をよく観察すると、ヘタごと落ちている場合が多く、これが生理落果のサインです。

この時期の落果は「木の体力を保つための自然現象」ですから、あまり心配しなくても大丈夫です。

ただし、日当たりや風通しが悪いと必要以上に実を落とすこともあるため、枝を間引いて光と風を通す管理が大切になります。

自然落果は果実を減らすネガティブな出来事ではなく、翌年以降も健康に実をつけるためのステップと考えましょう。

②青い実が落ちる場合

まだ青い実が落ちてしまうと「病気なのかも?」と不安になりますが、必ずしもそうではありません。青いまま落ちるケースには、いくつかの理由があります。

一つは生理落果で、ヘタごと青い実が落ちている場合が多いです。これは自然現象で心配ありません。もう一つは「受粉不良」で、実が十分に育つ前に成長が止まり、そのまま落ちてしまいます。

さらに注意すべきは「害虫による被害」です。特にカキノヘタムシガが原因の場合、青い実が早い段階で落ちることがあります。この場合はヘタが枝に残っているのが特徴で、見分けのポイントです。

青い実の落果は原因を特定することが大切です。ヘタごと落ちているのか、実だけが落ちているのかをよく観察すると判断しやすくなります。

③黒い斑点がある場合

柿の実に黒い斑点が出て、そのまま落ちてしまう場合は「炭そ病」の可能性が高いです。炭そ病は柿の代表的な病気で、雨が多い季節や湿度の高い場所で発生しやすい特徴があります。

実だけでなく、葉や枝にも黒い斑点が出ることがあり、進行すると実の品質が落ちてしまいます。その結果、自然に落ちてしまうのです。

この場合は、病気が原因と考えて対策を取る必要があります。発病した実や葉を早めに処分し、3月や4月に薬剤を散布するのが基本的な予防策です。

さらに、庭の落ち葉を掃除して病原菌が残らないようにすることも重要です。

黒い斑点は「病気のサイン」として分かりやすいので、見つけたらすぐに対応しましょう。

④ヘタが残って実だけ落ちる場合

柿の実が落ちているのに「ヘタだけが枝に残っている」場合、これは害虫による被害の可能性が極めて高いです。特にカキノヘタムシガの幼虫が原因です。

幼虫はヘタの部分から実に入り込み、栄養を吸い取った後に実を落としてしまいます。このとき、ヘタは枝に残るため「ヘタ残り落果」と呼ばれます。

この特徴を知っておけば、生理落果との区別が簡単です。自然落果ではヘタごと落ちますが、害虫被害ではヘタが枝に残るのです。

この被害を防ぐには、適期である6月と8月に薬剤を散布することが欠かせません。また、冬の休眠期に荒皮削りをして越冬する幼虫を駆除すると効果的です。

ヘタ残りの実を見つけたら、すぐに害虫対策を検討するようにしましょう。

柿の実を落とさないための栽培管理5つ

柿の実を落とさないための栽培管理5つについて解説します。

柿は比較的育てやすい果樹ですが、実をしっかり収穫するためには日常の管理が欠かせません。ポイントごとに見ていきましょう。

①日当たりと風通しの確保

柿は「日光が大好きな果樹」です。日当たりが悪い場所では樹勢が弱まり、実も落ちやすくなります。庭植えの場合は、日差しをしっかり浴びられる南側や東側のスペースを選びましょう。

鉢植えなら季節に合わせて日向に移動させるのが理想です。

また、風通しの悪い環境では湿気がこもりやすく、病気や害虫が発生しやすくなります。特に炭そ病や落葉病は風通しの悪さと関係が深いため、枝を間引いて空気が流れるように管理することが大切です。

光と風を十分に確保することが、実を落とさないための最も基本的なポイントです。

②水やりと肥料のタイミング

柿は比較的乾燥に強い樹木ですが、夏場の強い日差しが続くと水切れを起こして実が落ちやすくなります。庭植えでは基本的に水やり不要ですが、猛暑が続いたときは朝や夕方に水を与えましょう。

鉢植えは乾燥しやすいため、土の表面が乾いたらたっぷり与えるのが基本です。

肥料も落果に大きく関わります。肥料不足は樹勢を弱め、実を支える力をなくしてしまいます。逆に肥料を与えすぎると枝葉ばかり茂り、実を落とす原因になることもあります。

肥料の基本スケジュールは以下の通りです。

肥料の種類タイミングポイント
元肥(庭植え)12月~1月化成肥料と堆肥をバランスよく
元肥(鉢植え)2月有機固形肥料を中心に
追肥(庭・鉢共通)7月・10月緩効性の肥料でじっくり効かせる

「少なすぎず、多すぎず」バランスをとることが落果防止の秘訣です。

③正しい剪定方法

柿は花芽のつき方が特殊で、枝先の数節に花芽がつきます。そのため、枝先を切り詰めると花芽を失い、結果的に実が少なくなってしまいます。

剪定の適期は12月から2月の休眠期です。この時期に「よい母枝を残す」「不要な枝を基部から切除する」「一部を短く切って予備枝にする」という方法を取ります。

枝を強く切りすぎると翌年の収穫に影響するので注意しましょう。

また、剪定によって光と風を通す効果もあり、病気や害虫予防にもなります。正しい剪定は収穫量アップだけでなく、健康な木を育てるためにも大切です。

④摘蕾・摘果で実を調整

柿は放っておくと実をつけすぎる性質があります。実が多すぎると栄養が分散し、小さな実ばかりになったり、途中で落ちてしまったりします。

そこで有効なのが摘蕾(てきらい)と摘果(てきか)です。5月中旬に余分な蕾を取り除くことで、樹の負担を軽減できます。さらに、実が大きくなってきた段階で摘果を行い、残した実に養分を集中させます。

摘蕾・摘果を行うと「隔年結果」と呼ばれる「実がなる年とならない年が交互に訪れる現象」を防ぐこともできます。安定した収穫を続けるためにも大切な作業です。

⑤人工受粉や授粉木の利用

受粉不良による落果を防ぐには、授粉木を近くに植えるのが一番効果的です。「禅寺丸」「筆柿」「西村早生」など、雄花をつける品種をそばに植えると、自然に受粉が進みます。

もし庭にスペースがない場合は、人工受粉を行う方法もあります。筆や綿棒で雄花の花粉を雌花に付けてあげるだけで、受粉不良を大幅に減らすことができます。

家庭菜園レベルでは必ずしも必須ではありませんが、安定した実つきを望むなら積極的に取り入れると効果的です。

授粉対策をしておけば、せっかく咲いた花が無駄になることなく、実をしっかり残せるようになります。

柿の実を守る病害虫対策4つ

柿の実を守る病害虫対策4つについて解説します。

柿は丈夫で育てやすい果樹ですが、病気や害虫の影響を受けると実が落ちやすくなります。ここでは代表的な病害虫と、その対策を整理してみましょう。

①炭そ病の予防と薬剤散布

炭そ病は柿の代表的な病気で、実に黒い斑点が出るのが特徴です。症状が進むと果実が腐敗し、最終的に落ちてしまいます。また、葉や枝にも黒い斑点が現れることがあり、全体の樹勢が落ちてしまうこともあります。

発生しやすいのは、雨が多い梅雨時や秋の長雨の季節です。湿気がこもりやすい庭や、風通しの悪い場所では特に注意が必要です。

対策としては、3月と4月の発芽前に専用の薬剤を散布することが有効です。休眠期にも薬剤をまくことで、越冬した菌を減らすことができます。

また、病気にかかった実や葉を早めに取り除き、焼却処分することも大切です。

庭を清潔に保ち、風通しを良くすることも予防に直結します。炭そ病は一度発生すると繰り返し出やすいため、毎年の予防ケアが重要です。

②落葉病への対応

落葉病は葉に黒い斑点が現れ、やがて葉が早く落ちてしまう病気です。秋口に症状が出やすく、放置すると樹全体の体力が低下し、果実の品質にも影響します。

葉が少なくなると光合成ができなくなり、翌年の花芽形成にも悪影響を及ぼすため、早めの対処が必要です。

対応策としては、まず落ち葉を放置しないことです。落葉病の原因菌は落ち葉の中で越冬するため、そのままにしておくと翌年も繰り返し発生してしまいます。掃除を徹底し、落ち葉は必ず処分しましょう。

さらに、専用の殺菌剤を使って防除するのが効果的です。発生しやすい時期を把握し、定期的に散布すると安心です。

③カキノヘタムシガ防除

柿の害虫の中でも特に注意すべきなのが「カキノヘタムシガ」です。この害虫は年に2回、6月と8月に発生し、果実のヘタ部分から幼虫が侵入して食害します。その結果、実が枝から外れて落ちてしまうのです。

生理落果との違いは、ヘタが枝に残る点です。落ちた実を確認して、ヘタがついているかどうかを見れば原因を判断できます。

対策は「適期に薬剤を散布すること」が基本です。被害が出てから薬をまいても効果が薄いため、発生しやすい6月と8月を狙って予防的に散布しましょう。

さらに、落ちた被害果をすぐに片付けることも大切です。幼虫がそこから羽化して再び被害を広げる恐れがあるためです。庭を清潔に保ち、サイクルを断つことが被害拡大を防ぐカギになります。

④休眠期の荒皮削り

冬の休眠期にできる害虫対策のひとつが「荒皮削り」です。柿の幹や枝の古い樹皮の下には、害虫の幼虫や卵が潜んでいることがあります。

特にカキノヘタムシガなどは樹皮の隙間で越冬するため、そのまま春を迎えると再び被害が出てしまいます。

荒皮削りは、専用の道具で古い樹皮を削り取る作業です。難しく感じるかもしれませんが、家庭菜園レベルでも可能です。自信がない場合は、最低限薬剤散布だけでも行いましょう。

この作業をしておくと、翌年の害虫発生が減り、安心して実を育てることができます。

病気や害虫対策は「予防が第一」です。発生してから対処するよりも、事前に準備しておく方が確実に効果があります。

柿の栽培で知っておきたい基本情報

柿の栽培で知っておきたい基本情報について解説します。

柿を育てる上で基本的な知識を押さえておくと、落果を防ぎやすくなるだけでなく、美味しい実を安定して収穫することにつながります。

①甘ガキと渋ガキの違い

柿には大きく分けて「甘ガキ」と「渋ガキ」があります。名前の通り、熟した状態でそのまま甘く食べられるのが甘ガキ、渋みが強く渋抜きをしないと食べられないのが渋ガキです。

甘ガキの代表品種には「富有」や「次郎」などがあり、渋ガキには「平核無」や「刀根早生」などがあります。

甘ガキはそのまま食べられる手軽さが魅力ですが、渋ガキも干し柿や加工用に向いており、保存性に優れています。

家庭で育てる場合は、食べやすさを重視するなら甘ガキ、加工や保存も楽しみたいなら渋ガキ、と目的に応じて選ぶとよいでしょう。

②完全甘ガキと不完全甘ガキ

甘ガキはさらに「完全甘ガキ」と「不完全甘ガキ」に分けられます。

完全甘ガキは、種があってもなくても甘くなる品種で、手間がかからず家庭栽培に向いています。代表的な品種は「次郎柿」などです。

一方、不完全甘ガキは種が入らないと甘くならず、そのままだと渋みが残ります。代表的な品種は「富有柿」で、日本でもっともポピュラーな柿のひとつです。

この場合、受粉木をそばに植えたり、人工受粉をして種を作らせることで甘くなります。

もし不完全甘ガキを選ぶ場合は、受粉対策を意識しておくと確実に収穫が楽しめます。

③鉢植えと庭植えの管理方法

柿は庭でも鉢でも育てられますが、それぞれ管理方法に違いがあります。

庭植えでは、冬の12月〜1月に元肥を与え、夏と秋に追肥を行います。水やりは基本的に不要ですが、真夏の極端な乾燥時には補助的に与えると安心です。

広いスペースで育てるため樹勢も強く、比較的管理がしやすいのが特徴です。

鉢植えの場合は、土が限られているため水切れしやすく、肥料の管理もより細やかに行う必要があります。元肥は2月に与え、追肥は7月と10月に緩効性の肥料を中心に与えます。

水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。

鉢植えはスペースの少ない家庭でも育てられるメリットがありますが、庭植えに比べて落果しやすい傾向があるため、肥料と水分管理を意識して育てるのがポイントです。

④隔年結果を防ぐ方法

柿には「隔年結果」という性質があります。これは、ある年にたくさん実をつけると翌年は少なくなる、というサイクルを繰り返す現象です。この結果、実がならない年が出てしまうことがあります。

隔年結果を防ぐには、摘蕾や摘果を計画的に行うことが大切です。実をつけすぎる年にしっかり調整しておけば、翌年も安定して収穫できます。

また、肥料管理も関係します。実をつけた翌年は木の体力が落ちているため、冬の元肥や夏の追肥をしっかり行い、樹勢を回復させましょう。

隔年結果は柿特有の性質ですが、管理次第で十分コントロールできるものです。安定した収穫を楽しみたいなら、この点を意識して栽培することをおすすめします。

まとめ|柿の実が落ちる原因と対策

柿の実が落ちる原因4つ
①生理落果
②受粉不良
③害虫(カキノヘタムシガ)
④病気(炭そ病)

柿の実が落ちる原因は、自然に起こる生理落果から、受粉不足、害虫や病気までさまざまです。

見分け方としては「ヘタごと落ちるのか」「ヘタが枝に残るのか」「黒い斑点があるか」などを確認すると、原因がわかりやすくなります。

栽培環境を整え、剪定や肥料を適切に与えることで、実の落果を減らすことができます。また、害虫や病気は予防が重要で、薬剤散布や落ち葉の処理を徹底することで被害を防げます。

柿は家庭でも楽しめる果樹ですが、少しの工夫で収穫量や品質が大きく変わります。ぜひ今回の内容を参考に、元気な柿の木を育ててくださいね。