家庭菜園を始める際には、土作りから畝作り、マルチングに至るまで、思いのほか手間がかかるものです。
本記事では、畝がどのような機能を持ち、どのようにして作るのか、その作業的なポイントを解説します。
畝とは
畝(うね)とは、土を長く盛り上げて形成する土の構造で、野菜や他の植物を育てるために用います。畝は水はけを改善し、植物の根が広がりやすくすることで、植物の健全な成長を助けています。
畝の作り方と役割
畝作りには様々な目的がありますが、ここではその一般的な効果をご紹介します。
- 根の成長スペースを確保: 硬くて浅い土層の場所でも、畝を作ることで充分な根張り用の畑を確保できます。
これにより、植物は水分や栄養を効率よく吸収し、健康的に育つことができます。 - 水はけと通気性の向上: 畝を高くすることで、雨水が土中に溜まることなく、土の通気性を保つことができます。これが植物の健康的な成長を促進します。
- 土の温度を上げる: 畝を作ることで、太陽の熱をより効果的に吸収し、土の温度を上げることができます。これにより、植物の生長が促されます。
- 土壌微生物の活性化: 適切な空気、水分、温度が保たれることで、土壌中の微生物が活発に活動し、有機物が分解されて植物に利用可能な栄養が増え、土の質も向上します。
- 作業性の改善: 畝を設けることで、作業スペースと歩行スペースが明確に分けられ、野菜の手入れがしやすくなります。これにより、効率的な栽培計画を立てやすくなります。
畝作りの基本手順
【事前準備】
- 野菜の栽培用の畑を耕しておく
必要な道具
- 平クワ
その他で便利な道具
- メジャー(他の測定ツールでも可)
- ヒモ付きの棒
- 土を平らにするレーキ
- プラスチック管(適切なサイズは直径約6-7cm、長さ60-70cmの塩ビ管。ラップの芯を代用しても良い)
畝作りの手順
- 畝を設置する場所に印をつけます。短い畝の場合は平クワの先端を使い、土に直線を引きます。長い畝を作る場合は、ヒモ付きの棒を使用してまっすぐな線が引けるようにします。
- 印の付いたヒモに沿って、平クワで土をかき集めます。
- 集めた土をレーキで平らにします。レーキがない場合は、平クワの側面を利用して土をならします。
- ある場合は、プラスチック管を使って畝をさらに平らに整えます。
- 土の塊や石が見えた場合は取り除き、畝表面に隙間が出来たら土を足し、再び管で平らに整えます。
- 畝の側面をシャベルの平面や手で押し固めます。
- 畝の完成です。
畝作りのコツとポイント
理想的な畝は直線で、表面は平らなことが望ましいです。
直線的な畝は見た目が美しく、マルチかけや植付けがしやすくなります。
畝の表面を平らにすることは重要で、凹凸があると水がたまりやすくなり、根の成長が不均一になります。これが害虫の発生や生育不良を引き起こす原因となります。
畝の周辺の角度は、マルチを使用する場合、45度に斜めという話もあるが、私は特にこだわっていません。
マルチング材料の選び方
マルチング材料は種類が豊富で選ぶのが難しいこともありますが、一般的には「黒ビニールマルチ」がでいいでしょう。
黒ビニールマルチは家庭菜園での栽培に一般的に使われていて、我が家では黒のみで栽培しています。
マルチングの基礎知識
表面を資材で覆う作業をマルチングと称します。一般的にはマルチとも呼ばれています。
この方法は畑や庭、花壇、空き地、通路、鉢植え、プランターといった広範囲にわたる場所で行われます。
これから説明するように、マルチングにはビニールシートや、わら、腐葉土、木のチップ、石などの自然素材が使用されることがあります。
マルチングのメリット
- 雑草ができるのを防ぐ
- 土の保湿
- 病害虫のリスク減少
- 土壌と肥料の保護
マルチング材料の種類と特徴
マルチング材料には、「マルチシート」と「有機物マルチ」の二種類が主にあります。特に初心者には、黒ビニールマルチを選んでください。
マルチシート
- 主に黒ビニールで作られ、土壌を覆うために使用されます。
- 黒マルチは太陽光を吸収し、高い保温効果を提供します。
- 雑草の抑制と泥はね防止に効果的です。
- 穴のあるタイプとなしタイプがあります。
- 他にもシルバーマルチや透明マルチが選べます。
有機物マルチ
- 植物の残渣や堆肥などの有機物を使用し、土壌に敷き詰めます。
- 微生物の活動を促進し、土壌を豊かにします。
- 主な材料にはワラ、雑草、もみ殻、ウッドチップ、バークチップがあります。
マルチシートの敷き方
マルチングを始める前に、土作りや畝作りを終えておく必要があります。
敷く前の準備
- 土壌に石灰や堆肥、基肥を混ぜ込みます。
必要な道具
- 黒マルチシート
- 平クワ
- 穴あけ器やハサミ
便利な道具
- レーキ(畝を平らにするため)
- マルチ押さえ(マルチシートを固定する際に使用)
マルチシートの敷き方
- 平クワやレーキで畝を平らに整えます。
- 畝の端から20cm余分にマルチシートを出して仮止めします。
- マルチシートを畝の反対側まで引き伸ばし、同様に余分を残して固定します。
- マルチシートをピンと張ってしわがないようにして固定します。
- マルチシートの両サイドはピンと張りながら、平クワで土をかぶせて固定します。
- あるいは畝を固定させるピンでの周りを固めてる方法もあります。
- 穴が開いていないマルチシートの場合は、作物に適した間隔で穴を開けます。
家庭菜園の手引き
以下の関連記事も併せてご覧ください。
水やり>>>
種まきの基本>>>
雑草対策>>>
堆肥の基礎知識>>>
まとめ
- 家庭菜園での畝作りは、初心者にとっても重要なステップです。
- まず、畝を作る場所を選び、地面を平らにして石や雑草を取り除きます。
- 次に、平クワ約30cmの高さの畝を作ります。
- 畝の幅は黒マルチが利用できる60~80cm程度がいいでしょう。
- 畝の間隔は約20cmの通路を残すと作業がしやすくなります。
- 最後に、畝をならして種まきや苗の植え付けを行います。これらの手順を丁寧に行うことで、よい野菜が育ちやすくなります。