じゃがいもにつく虫は、放っておくと葉や茎を食べ尽くし、最悪の場合は収穫量が半分以下になることもあります。
特にヨトウムシやアブラムシ、テントウムシダマシなどは家庭菜園でもよく見られる害虫で、知らないうちに繁殖してしまうことも少なくありません。
この記事では、じゃがいもにつく代表的な虫の種類とその被害、効果的な駆除方法、そして無農薬でもできる予防策を徹底的に解説します。
虫を寄せつけない健康なじゃがいもを育てるための実践的なポイントがわかる内容になっています。
読めば、もう虫被害に悩まされない「安心のじゃがいも栽培」ができるようになりますよ。
じゃがいもにつく虫の種類と特徴を徹底解説
じゃがいもにつく虫の種類と特徴を徹底解説します。
それでは、それぞれの害虫の特徴を詳しく見ていきましょう。
ヨトウムシ(夜盗虫)
ヨトウムシは、夜間に活動する害虫で、日中は土の中や葉の裏に潜んでいます。幼虫は緑がかった灰色で、成長すると3cmほどになり、主に若い葉を食べ尽くします。
ジャガイモの葉が部分的に食いちぎられていたら、この虫の可能性が高いです。
ヨトウムシは夜行性なので、昼間には見つけにくく、発見が遅れると被害が拡大しやすいのが特徴です。特に、葉がレース状になるほど食害が進むと、光合成ができずに生育が止まってしまいます。
見つけたら、早朝か夕方に土を軽く掘って取り除くのが効果的です。卵塊(たまごのかたまり)は葉の裏に産みつけられるため、見つけたらすぐに除去します。
被害がひどい場合はBT剤(生物農薬)を使うのも有効です。ヨトウムシ専用の製剤で、環境にも優しく家庭菜園でも使いやすいです。
テントウムシダマシ
見た目はナナホシテントウに似ていますが、葉を食べる害虫です。オレンジ色で黒い斑点があり、成虫・幼虫ともにジャガイモの葉を好んで食害します。
被害が進むと葉脈だけが残り、光合成が妨げられます。
テントウムシダマシは、特に6〜8月に多く発生します。太陽光の強い日中も活動するため、見つけたらすぐに手で取り除くのが有効です。
防虫ネットを張ることで、飛来を防ぐことができます。また、マリーゴールドを近くに植えると忌避効果があるとされています。
アブラムシ
アブラムシは、ジャガイモの新芽や茎の柔らかい部分に群がって吸汁し、生育を阻害します。数ミリほどの小さな虫ですが、繁殖力が非常に高く、放置すると一気に増殖します。
吸汁による直接的な被害に加え、ウイルス病を媒介するため、被害が広がりやすいのが特徴です。葉が丸まったり、黄色く変色していたらアブラムシ被害のサインです。
牛乳スプレーや木酢液の散布が効果的で、薬剤を使わずに駆除することができます。また、天敵のテントウムシを見逃さないようにしましょう。
コロラドハムシ
北米原産の強害虫で、日本でも注意が必要です。成虫は黄褐色の体に黒い縦縞があり、幼虫はオレンジ色で背中に黒点があります。
成虫も幼虫も葉を食べるため、発見次第すぐに対処する必要があります。
被害は非常に激しく、短期間で一株を丸裸にしてしまうこともあります。早期発見と駆除が大切です。
見つけた場合は、すぐに手で捕殺し、卵を見つけたら葉ごと処分します。農薬を使う場合は、登録のある殺虫剤を選びましょう。
ネキリムシ
ネキリムシは、夜間に茎を食い切る害虫です。発芽直後の苗が根元から切られて倒れてしまうことが多く、苗が消えるように枯れてしまうのが特徴です。
主に春先から梅雨前に発生し、雑草や残渣に潜むことが多いです。夜間に活動するため、昼間には見えにくいですが、株元を掘ると黒っぽいイモムシ状の幼虫が見つかります。
防止には、定植前に畑の残渣をきれいに片づけておくことが重要です。見つけ次第、ピンセットで除去し、苗の根元をストローや紙筒で保護するのも有効です。
じゃがいもにつく虫による被害の実態5つ
じゃがいもにつく虫による被害の実態を5つ紹介します。
それでは、実際にどんな被害が起きるのかを順に見ていきましょう。
葉を食べ尽くす被害
じゃがいもの葉がレース状になっていたら、虫による食害のサインです。主な原因はヨトウムシやテントウムシダマシなどの葉食い虫です。
彼らは夜間に活発に活動し、短期間で葉を丸裸にしてしまうこともあります。
葉が食べられると、光合成ができなくなり、栄養が芋に届きません。その結果、いくら肥料を与えても芋が太らず、小ぶりのじゃがいもしか収穫できなくなります。
特に被害が大きいのは、梅雨明けから夏の高温期です。虫の繁殖スピードが上がり、一晩で数株が被害を受けることもあります。
対策としては、朝夕に株の葉を裏返して虫や卵を探し、見つけたら手で取り除くのが基本です。防虫ネットをかけて、成虫の飛来を防ぐのも有効です。
茎がかじられて枯れる
じゃがいもの茎が途中から倒れていたら、ネキリムシによる被害が考えられます。夜間に活動し、茎の根元を食い切るため、朝になると苗が突然しおれていることが多いです。
茎がかじられると、水分や養分の通り道が断たれてしまい、植物全体が枯れてしまいます。初期の段階で気づかないと、畑全体の苗が次々と倒れてしまう危険があります。
対処法としては、倒れた株の根元を掘ってみると、土の中にネキリムシの幼虫が潜んでいます。見つけたら捕殺し、残渣を丁寧に取り除きましょう。
また、定植前に耕して冬越し中の幼虫を駆除しておくと、発生を大きく減らせます。
芋そのものに穴があく
収穫したじゃがいもに穴があいている場合は、地中性の害虫による被害です。代表的なのはコガネムシの幼虫やヨトウムシの仲間です。
彼らは地中に潜り、じゃがいもの表面を食べながら進むため、丸い穴やえぐれた跡が残ります。見た目だけでなく、保存性も悪くなるのが問題です。
また、穴があいた部分からカビが入り、腐敗が進むこともあります。せっかくの収穫が台無しになることも珍しくありません。
対策は、定植前に畑をよく耕し、幼虫を駆除しておくこと。発生しやすい場所では、米ぬかトラップなどを使って地中の虫を減らすのも効果的です。
生育不良になる
虫による直接的な食害だけでなく、アブラムシが媒介するウイルス病によって、生育が悪くなるケースもあります。葉が丸まり、全体が黄色っぽく変色するのが特徴です。
この状態になると、光合成や養分の循環が阻害され、芋の肥大が止まってしまいます。症状が出てからでは手遅れになることが多いため、早期発見が大切です。
健康な苗を選ぶことと、発芽初期からこまめに観察することが最も重要です。アブラムシを見つけたら、すぐに牛乳スプレーや木酢液で駆除しましょう。
さらに、周囲の雑草をこまめに刈り取ることで、虫の隠れ場所を減らせます。
収穫量が大きく減る
虫の被害が長期間続くと、じゃがいもの生育全体に悪影響を及ぼし、最終的に収穫量が大きく減少します。葉が減れば光合成量が落ち、根が弱れば芋の肥大が進まなくなるためです。
特にヨトウムシやコロラドハムシは成長期に一気に葉を食べるため、収穫量への影響が大きいです。小ぶりな芋が多くなり、見た目も悪くなります。
また、被害株を放置すると、他の株にも虫が移動して被害が拡大します。こまめに観察し、被害を見つけたらすぐに対応することが何より大切です。
健全なじゃがいもを育てるためには、虫の発生を早い段階で抑え、常に畑の状態を確認しておく習慣が必要です。
じゃがいもにつく虫の駆除方法5ステップ
じゃがいもにつく虫の駆除方法を5ステップで紹介します。
それでは、順に詳しく解説していきます。
①虫の種類を見極める
まず最初に大切なのは、「どんな虫がついているのか」を正しく見極めることです。
じゃがいもに発生する虫は、葉を食べるタイプ、茎をかじるタイプ、芋に穴をあけるタイプなど、被害の形が異なります。
例えば、ヨトウムシやコロラドハムシは葉を食べ尽くすタイプ。ネキリムシは茎を切るタイプ。アブラムシは吸汁して生育を止めるタイプです。
虫の種類によって、使う農薬も対処法も異なります。葉の食害なのか、根元の被害なのか、芋に穴が開いているのかを観察しましょう。
被害箇所をスマートフォンで撮影して比較すれば、インターネット検索でも種類を特定しやすいです。
②手で取り除く(捕殺)
薬剤に頼らない方法として最も効果的なのが、手で虫を取り除くことです。特にヨトウムシやテントウムシダマシなどは、成虫・幼虫ともに目視で確認しやすいです。
朝方や夕方は虫が活動的でないため、この時間帯に葉の裏や茎を確認しましょう。見つけた虫はピンセットなどで取り除き、水を入れたバケツに落として処分します。
卵塊(たまごのかたまり)がある場合は、葉ごと取り除くのがベストです。特にヨトウムシの卵は葉裏に密集しているため、見逃しに注意が必要です。
地中性の虫(ネキリムシなど)の場合は、根元を軽く掘って駆除します。見つけ次第の対応が被害を広げないコツです。
③農薬や殺虫剤を適切に使う
被害が広範囲に及ぶ場合や、虫が大量発生しているときは、農薬の使用も検討しましょう。
ただし、使いすぎると益虫まで減らしてしまうため、対象害虫に合ったものを適切に使用することが大切です。
家庭菜園向けにおすすめの薬剤は以下の通りです。
| 対象害虫 | おすすめ薬剤 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヨトウムシ・アオムシ類 | BT剤(トアロー水和剤など) | 微生物由来で安全性が高く、有機栽培にも使用可 |
| アブラムシ | マラソン乳剤・粘着くん液剤 | 葉の表裏にまんべんなく散布が必要 |
| テントウムシダマシ・コロラドハムシ | スミチオン乳剤など | 即効性があり、短期間で駆除可能 |
農薬を使う際は、収穫までの「安全日数(使用制限)」を必ず確認してください。散布後は子どもやペットが近づかないように注意しましょう。
④コンパニオンプランツを活用する
コンパニオンプランツとは、特定の植物を近くに植えることで害虫を寄せつけにくくする栽培方法です。じゃがいもと相性の良い植物は、マリーゴールド、ネギ、チャイブ、タイムなどです。
マリーゴールドには土中害虫を忌避する効果があり、ネキリムシやコガネムシの発生を抑えます。ネギやチャイブは強い香りでアブラムシを遠ざける効果があります。
これらをじゃがいもの周囲に植えることで、自然な防虫効果を得られます。見た目にも彩りが増して、菜園が華やかになるメリットもあります。
ただし、植えすぎると栄養を奪い合うため、ほどほどの本数に調整するのがポイントです。
⑤天敵を利用する
自然界には、じゃがいもの害虫を食べてくれる「益虫(えきちゅう)」がたくさんいます。代表的なのはテントウムシ、カマキリ、クモ、ハチ類などです。
アブラムシはテントウムシが大好物ですし、ヨトウムシやネキリムシの卵を食べる寄生バチもいます。こうした天敵が活動しやすい環境を整えることで、自然と害虫が減っていきます。
殺虫剤を多用すると天敵まで減ってしまうため、被害が軽度のうちはできるだけ自然のバランスを保つようにしましょう。
天敵を呼び込むには、花を植えるのも効果的です。特に、カモミールやフェンネル、バジルなどは益虫を誘引します。
無農薬でできる!じゃがいもの虫対策4選
無農薬でできるじゃがいもの虫対策を4つ紹介します。
農薬を使わなくても、工夫次第で害虫の被害をかなり抑えることができます。ひとつずつ見ていきましょう。
①防虫ネットで物理的に防ぐ
もっとも確実で簡単なのが、防虫ネットを使う方法です。苗を植えた直後から不織布や防虫ネットで畝全体を覆うことで、成虫の飛来を物理的に防ぎます。
特にテントウムシダマシやアブラムシなどの飛来型害虫には効果抜群です。網目の細かいネット(0.6mm前後)を選び、地際までしっかりと固定しましょう。
注意点として、ネットを完全に密閉すると通気性が悪くなり、湿気がこもって病気の原因になることがあります。風通しを確保しながら設置するのがポイントです。
また、成長に合わせて高さを調整し、葉がネットに触れないようにすることも重要です。触れていると、そこから虫が侵入する可能性があります。
②木酢液や石けん水を使う
自然由来の成分を使ったスプレーは、無農薬栽培の強い味方です。代表的なのが木酢液と石けん水です。
木酢液は木炭を作るときに出る液体で、防虫効果と殺菌効果があります。水で100〜200倍に薄めて葉の表裏にスプレーします。強い匂いが虫を寄せつけにくくします。
一方、石けん水(無添加の台所石けんを水で薄めたもの)は、アブラムシ対策に効果的です。虫の体表の油膜を壊し、窒息させることで駆除します。
ただし、濃度が高すぎると葉を傷めることがあるため、試験的に一部で使用してから全体に散布しましょう。雨の後は効果が薄れるため、こまめに再散布するのがおすすめです。
③トラップを設置しておびき寄せる
虫を直接誘引して捕まえる「トラップ法」も、無農薬でできる対策のひとつです。代表的なのが「米ぬかトラップ」と「黄色粘着シート」です。
米ぬかトラップは、地中のヨトウムシやコガネムシ幼虫をおびき寄せます。米ぬかと水を混ぜてペースト状にし、土に埋めておくと、数日後には虫が集まります。集まったらスコップで取り除きます。
黄色粘着シートは、アブラムシや小バエなどを引き寄せる色の特性を利用したものです。畝の近くに吊るしておくと、飛来した虫が張り付きます。
これらの方法は環境に優しく、コストも低いため、家庭菜園に最適です。定期的に交換することで効果を維持できます。
④こまめに観察して早期発見
どんな対策よりも大切なのが、日々の観察です。虫の発生を早期に見つけることで、被害の拡大を防ぐことができます。
朝や夕方に葉の裏、茎の根元、土の表面をチェックしましょう。特に、発芽後2〜3週間の間は虫が付きやすい時期です。
もし被害の兆候(食痕や卵、変色した葉など)を見つけたら、その場で除去します。被害が進む前に対処することで、薬剤を使わずに済む場合がほとんどです。
虫が発生した箇所を記録しておくのもおすすめです。発生傾向を把握すれば、翌年の栽培時期に対策を前もって立てられます。
虫を寄せつけないじゃがいも栽培のコツ5つ
虫を寄せつけないじゃがいも栽培のコツを5つ紹介します。
虫の発生を抑えるためには、日々の管理と環境の整え方がとても大切です。では、具体的に見ていきましょう。
①連作を避ける
じゃがいもを同じ場所で毎年育てると、土の中に害虫や病原菌が蓄積されてしまいます。これを「連作障害」と呼びます。
特にネキリムシやコガネムシの幼虫は、前年の根や残渣の周辺に生き残り、翌年の苗を狙います。
理想的には、同じ場所でじゃがいもを植えるのは3〜4年空けることです。どうしても同じ畑を使う場合は、土の天地返しを行い、深く耕して虫を表層に出すと良いでしょう。
また、前年にナス科(トマト・ナス・ピーマンなど)を植えた場所も避けましょう。これらは共通の害虫がつくため、被害を受けやすくなります。
②健康な種イモを選ぶ
虫の被害を減らす第一歩は、健康で病害虫のない種イモを選ぶことです。小さな穴が開いていたり、表面にしみや黒ずみがある種イモは避けましょう。
種イモを植える前に、カットした断面をしっかり乾燥させることも大切です。乾燥が不十分だと、切り口から雑菌や虫が侵入しやすくなります。
もし心配な場合は、植え付け前に「ベンレート水和剤」などの殺菌剤に浸しておくと安全です。これにより、初期の病害虫発生を大幅に減らせます。
③適切な肥料管理をする
肥料を与えすぎると、葉が過剰に茂り、虫がつきやすくなります。特に窒素分(チッソ)が多いと、アブラムシやヨトウムシを呼び寄せてしまう原因になります。
肥料のバランスを整えるためには、「元肥を控えめに、追肥は必要な分だけ」を意識しましょう。肥料は株間に軽く混ぜる程度で十分です。
また、肥料の種類にも注意が必要です。有機肥料を使う場合は、未熟な堆肥を避け、しっかり熟成されたものを選びましょう。腐敗臭が残ると、コガネムシ類が寄ってきます。
④畑の通気性と水はけを良くする
湿気が多い環境は、虫にとって居心地の良い条件です。畝を高めに作り、土の通気性と水はけを良くしておくことで、虫が住みつきにくくなります。
耕すときは、腐葉土やパーライトを混ぜて土壌をふかふかにすると効果的です。粘土質の土壌では特に、排水改善が重要になります。
また、雨が続いた後には畝の周りの水たまりを排水し、根腐れや虫の繁殖を防ぎましょう。畑の状態を定期的にチェックして、常に「乾きすぎず、湿りすぎず」を目指します。
⑤収穫後の残渣処理を徹底する
収穫後に残った茎や葉をそのまま放置すると、虫の温床になります。特にヨトウムシやネキリムシは、枯れた葉の下で次の世代を育てることがあります。
収穫後は、残渣をしっかりと取り除いて焼却または畑の外へ出すことが大切です。土の表面を軽く耕して日光に当てることで、卵や幼虫を死滅させる効果もあります。
冬の間に畑を空けておく場合は、緑肥(レンゲやクローバー)を植えるのもおすすめです。これにより、土壌が健康になり、虫の発生を抑える自然なサイクルができます。
まとめ|じゃがいもにつく虫対策のポイント
| じゃがいもの虫対策5ステップ |
|---|
| 虫の種類を見極める |
| 手で取り除く(捕殺) |
| 農薬や殺虫剤を適切に使う |
| コンパニオンプランツを活用する |
| 天敵を利用する |
じゃがいもにつく虫は、種類も多く、被害も多様です。しかし、虫の種類を正しく見分け、早めに対処すれば、被害を最小限に抑えることができます。
特にヨトウムシやアブラムシなどは、初期段階での発見が重要です。葉の裏をこまめに観察し、虫や卵を見つけたらすぐに除去しましょう。
防虫ネットの活用やコンパニオンプランツの導入など、農薬を使わない対策でも十分に効果があります。畑を清潔に保ち、連作を避けることで、虫の発生を根本から防ぐこともできます。
虫との戦いは「予防」が鍵です。環境を整えて、健康なじゃがいもを育てましょう。
